は  じ  め  て  の  き  す  を  し  た 。






















自分の部屋のドアをバタンと閉めて、制服のままベッドにダイブした。
今日出た課題とか、空になったお弁当箱を出さなきゃとか、いろいろ思うけれど、体は動いてくれなかった。











私、は、忍足侑士と、一ヶ月前からお付き合いをしています。
それなりに仲のいいクラスメイトだった私たちは、たまたま休んだ友達の代わりに一緒に日直をしたの日の放課後、忍足くんの方から告白された。
私は忍足くんを好きだったわけではないけれど、前から少し気になっていて、告白されたその時に恋に落ちたのです。
忍足くんは部活が忙しいし、なかなか恋人らしいことは何も出来てないのだけれど、この前初めてデートした時に勇気を出して部活を見に行きたいと言うと、忍足くんは笑って“その日は一緒に帰ろう”と言ってくれました。





それが今日でした。
テニスボールを追う忍足くんがいつもよりさらにかっこよく見えて、すごくドキドキしました。



帰り道に少し寄り道して、缶ジュースを持って公園のベンチでふたりで少し話をしました。



遊んでいる子供たちもいない静かな公園で初めてキスをしました。




忍足くんはきっと違うけれど、私にとっては初めてのキスで、すごくすごく嬉しくて恥ずかしかったです。「もう遅いから」と、忍足くんは付き合って初めて手を繋いでお家まで送ってくれました。
























唇に、手に、忍足くんの温かさが残っていて、嬉しくて、少し苦しい。あぁ、いつの間にこんなにも忍足くんを好きになっていたのだろう。




「ほな、また明日な」

と言って優しく笑ったその顔が、声が、何度も何度もリフレインする。


どうしよう。

一人になってもこんなにも忍足くんで私がいっぱいになってしまったら、苦しくてしかたがない。
胸が高鳴る。愛しい恋しいって叫んでる。





なんて明日が遠いんだろう。












三、
足曳の 山鳥の尾の しだり尾の
           長々し夜を 獨りかもねむ








-----
素敵企画、恋慕さまに。

初めての企画です…よ。緊張します。参加させていただいてありがとうございました!



南ワコ steel rain